土地家屋調査士試験は「法律」「測量・製図」「書式」の3分野をバランスよく問う国家試験です。
合格率は毎年8~10%前後と低めですが、学習ルートを押さえれば社会人からでも十分狙えます。
以下では、学ぶべき知識の内容と学び方(情報源・教材・環境)を多角的に整理しました。
1. 出題分野と学習内容
試験は「筆記(午前・午後)」+「口述」の2段階です。
主要テーマごとに学ぶポイントを具体的に示します。
分野 | 具体的に学ぶ内容 | 学び方のヒント |
---|---|---|
民法 | 物権・相隣関係・占有・所有権界など境界紛争や土地利用に直結する部分 | 判例重視。土地境界トラブル事例をセットで理解 |
不動産登記法(表示に関する登記) | 表題登記・地目変更・分筆・地積更正など申請手続 | 登記記録の読み方や申請書式を過去問で反復 |
土地家屋調査士法 | 業務範囲、責任、独占業務 | 実務規程と懲戒事例を押さえる |
測量学 | 測量基準、三角・多角測量、GNSS、地形図の読み方 | 数学・幾何・三角関数も復習 |
作図(製図) | 地積測量図や現況平面図を正確に描く | CADまたは手描きの両方に慣れる |
書式(午後試験) | 登記申請書や図面を与えられた条件で作成 | 時間内処理の訓練が重要 |
口述試験 | 実務知識と応対力。業務フローや法務局手続きの説明 | 模擬面接や実務経験者からの指導が有効 |
2. 学習リソース(どこで知識を吸収するか)
A. 独学用
- 市販テキスト
- 『土地家屋調査士 合格のLEC基本書』
- 『過去問マスター』シリーズ
- 『書式集』など
※午前・午後・書式別に分冊されているものを活用。
- 法令集・判例集
- 最新の不動産登記法・民法改正対応版を必携。
B. 予備校・通信講座
- LEC東京リーガルマインド:長年の合格実績、模擬試験が充実。
- アガルートアカデミー:オンライン完結型。動画+添削。
- 東京法経学院:実地演習や書式特化講座に強い。
- 資格スクエア等オンライン系:スキマ時間学習向き。
→ 初学者は「総合本科コース」で基礎から一気にカバーするのが近道。
C. 実務・体験型
- 測量補助アルバイト:現場感覚と機器操作を体で覚えられる。
- 土地家屋調査士事務所での補助業務:登記申請書類やCAD操作を実地で学習。
D. オンライン・デジタル
- YouTubeの測量解説チャンネル
- eラーニング(予備校動画、Udemyなど)
- 無料公開の法務局「不動産登記オンライン講座」「法令集PDF」
E. 学習コミュニティ
- SNS(X/旧Twitter)合格者グループ
- Discord/LINE勉強会
- 各地の土地家屋調査士受験生勉強会(リアル自習室型)
3. 学習ステップ(目安:1年~1年半)
- 基礎固め(3~4か月)
- 民法・不動産登記法の基本概念
- 測量学の数式と単位換算
- 過去問演習(6か月)
- 午前・午後とも10年分を回す
- 書式は制限時間内で仕上げる訓練
- 実務&模試(残り3~6か月)
- 模擬試験・答練で弱点克服
- 現場見学や補助アルバイトで体感を得る
4. 学び方の多角的ヒント
- 視覚派:CAD・ドローン測量動画で立体的に理解。
- 手を動かす派:毎日1枚、地積測量図を書いて体に覚え込ませる。
- 理論派:民法・判例を「事例ストーリー」で暗記。
- 社会人時間制約型:通勤時間に音声講義、週末に集中演習。
5. 合格までのリアルな計画例(社会人)
- 平日1.5〜2時間+週末6〜8時間学習で約1,200時間が標準。
- 目標1年なら、平日90分+土日各4時間ペース。
まとめ
- 学ぶべきは法律(民法・登記法)+測量・製図+書式。
- 情報源は市販教材・通信講座・現場体験・オンライン法令集を組み合わせる。
- 合格の鍵は過去問反復+実地感覚です。
この流れを押さえれば、独学でも、スクール併用でも合格が見えてきます。
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